静岡県知事選挙
7月5日、静岡県知事選挙が行われた。全国的にも大きなニュースだったと思うが、どんな話だったかを改めて書いておきたいと思う。本当は大勢が判明した頃、自分はパソコンに向かっていたのでその時に書こうと思えば書けたのだが、ちょっと調べ物をしていたので後回しになってしまった。
静岡県知事選挙は、前の石川知事が富士山静岡空港の立ち木問題の解決のために辞職したために行われた。立ち木の生えている土地の所有者が立ち木の伐採に応じる条件として前知事の首を要求して、自らの信念に基づいて空港を開港させるために前知事がそれに応じた。まあ、その前の前の県知事選挙では「空港の是非を問う住民投票をやりましょう!」と息巻いていたのに当選したら結局住民投票は行われなかった。与野党相乗りの候補だと、こういうことをされても次の選挙で当選されてしまうから困っちゃう。昨日は兵庫県知事選挙も行われていたのだが、こちらは与野党相乗りだったのでろくにニュースにもなっていなかった。もちろん私は前々回も前回も石川さんの対立候補に投票したが結果は「死に票」であった。
今回当選した川勝さんは京都出身の学者さん。前知事の石川さんがこの人の考えに傾倒して、静岡県内の大学の学長に招き入れた経緯がある。この人の唱える「富国有徳」という言葉は静岡県のテレビCMの最後に使われていた。その言葉を提唱した人が川勝さんだったと、恥ずかしながら当選の報を聞いた後で初めて知った。前知事が呼んだ人が野党・民主党の推薦を受けて立候補するに至った経緯は結構複雑なものがありそうだ。
民主党といえば推薦候補は川勝さんだが、地元では民主党の参議院議員であった海野さんの方が知名度が高かった。当選した川勝さんが72万票あまりであるのに対し、海野さんの得票は30万に及んだ。「野党に応援したいけれど、どっかからやってきた学者さんよりは地元選出の政治家の方がいい」という意見が「民主党の得票」の実に3割を占めていたということになる。これは民主党も重く受け止めるべきだと思う。経済学者はタレント候補ではないが、人気取りのためにどっかから連れてきた人間(過去の例を挙げると某プロゴルファーの父親とか)よりも、地元選出でこつこつと議員の実績を上げている人を支持者はちゃんと評価しているということだ。「選挙区ごとに誰が一番得票が多かったか」というのでは「静岡市葵区」だけは海野さんがトップだった。
自民党・公明党が推薦した坂本さんは71万票と僅かに及ばなかった。これだけの僅差だったということは、知事選の直前に麻生総裁の党役員人事をめぐる混乱がもしなかったら当選していた可能性が高い。先に述べた通り民主党支持の票が7:3で割れた事態であっただけに本当に紙一重の結果であった。特に、静岡県東部、伊豆半島はすべての市町で坂本さんがトップ、それもはっきりいってしまえば田舎に行けばいくほどその勝ちっぷりは見事であった。私の住む焼津市でも坂本さんの方が上だった。「保守王国静岡に数が吹いた」というけれど、「トップを取った市町の数」でいえば坂本さんの方が上回っていた。保守王国は保守王国であることに間違いはない。ただ、人口の多い県西部、浜松市を中心とする地域で川勝さんの票が多かったのでトータルでは勝ったというだけだ。もし静岡県が、「伊豆(いず)」・「駿河(するが)」・「遠江(とおとうみ)」という3つの県だったとしたら、これだけ与党側に逆風が吹いていたとしても伊豆・駿河の2県では与党側の候補が勝っていたということになる。
この分だと衆議院選挙でも、我らの地域では「大物議員の息子で政治家としての経験なんてありゃしないという人間」の3選が実現しそうなあんばいである。「風」はこっちじゃ「すきま風」である。民主勝利に沸いた全国と私の抱いた感想は若干異なっている。
それにしても民主主義国家でこの投票率というのは何だろうね。今回の61%という投票率は、「前回より16ポイントも高く関心の高さをうかがわせた」ってことは前回の選挙は44%ということだ(冒頭で述べた「調べもの」というのは昨日の時点では前回の投票率が見当たらなかったということである)。半分行ってねーじゃんか。先に述べた通り「オール与党」で、しかもその前の選挙で「空港建設是非を問う住民投票」がなきものにされた後の選挙だったということで「どうせ投票に行っても行かなくても変わらねーよ」という空気が蔓延していたことが想像されるが、そんなことでどうするの?「今回は争点があった」といっても4割近い有権者が投票にも行かなかったというのは何だ?もちろん、静岡県だけの話ではないが、私は選挙に行って投票するのは「権利」ではなくて「義務」だと思っている。もちろん私は20歳になってから13年、棄権したことは一度もない。よく考えてほしい。たとえ投票した人の半分近い票が「死に票」になったとしても、投票率がほぼ100%に近い状態だったらどうなる?政治家は常に緊張感を持って事に当たるだろうし、国民のほとんどが選挙にかかわったということになれば国会での論戦もきちんと国民の方を向いたものになるだろうし、やましいことが発覚した議員は説明責任を果たして、それでもダメなら身を処して、そうしていかざるを得なくなるはずだ。今の政治に閉塞感を感じているのなら、まずは投票に行って投票率を押し上げるべきだ。
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