「N好き」という私が勝手に作り出した言葉がある。ゲームは任天堂、テレビはNHKをもっともよく利用する自分のことをいっているのだが、この両者を取り上げたのはたまたまではない。元々「ゲームといえばファミコン」「テレビといえばNHK」というのが最初にあったんだけれど「こっちの方が面白いぜ」といって民放のテレビや他のゲーム機に人気が集まった後も、かたくなに最初好きだったものを使い続けているという性格の表れである。ついでに携帯はNTTドコモで、よく買う電化製品はナショナル(いまはPanasonic)が多いときたもんだ。
さて、そんなNHKマニアな私にとって、夜7時のニュースでお天気コーナーを担当する「半井小絵(なからい さえ)」さんの本を見つけたので思わず買ってしまった次第である。
きっかけは昨年末、近くの書店にない本を「Amazon」で買った時の事。その本が1470円だったのだが、ご存知の通りAmazonは「1500円以上買うと送料無料」なので、「せっかくだから何かもう1冊」と思ってサイト内をブラウズしていた。ちょうど年末で、2008年のカレンダーがたくさん販売されていたのだが、その中に「NHK気象予報士カレンダー」なるものが販売されているのを発見した。半井さんだけでなく、各番組の気象情報を担当する5人(だったかな)の気象予報士の写真が入ったカレンダーだ。その存在はその前にネットのニュースで知っていたのだが、「自前の社員で稼ぐなんて恐るべしNHK」と思ったものである。ただし、ニュースの記事によれば、お天気コーナーの担当はアナウンサーではなく、事務所に所属するタレントさん、つまりNHKとは「契約社員」のような形で働いている人たちのようである。そのカレンダーのページから、「関連書籍」という事で、この本が紹介されていたのであった。
アウトドア派の私の父親が以前、気象予報士を、本気で目指したかどうかは知らないが「NHK気象ハンドブック」なる本を買ってきたはいいが、あまりに専門的過ぎて父親も私も最後まできっちり読む事はなかった、ということがあったが、この本は読んだ人の感想によると(こういうのもついているからAmazonはぬかりない)、専門的な本ではなく、気象の言葉に関心を持ってもらえたらという視点で書かれているという事だったので、「これはいい」と思って注文してみた。
実際に読んでみると、用語を解説した専門書とはずいぶん印象が異なる。「春」「夏」「秋」「冬」に「梅雨」を1つの季節として5つの章からなり、「この時期にはこういう天気の特徴がある」「こういう季節を表現するこういう言葉がある」といった事がふんだんに盛り込まれている。すべて筆者の実際に身の回りに起こったり、見聞きしたことが書かれているので、押し付けの用語解説になっていないところがいい。
また、何げない記述の中に、「気象予報士はこういう事を考えているんだ」とか、「気象の世界にはそういうルールがあるんだ」ということも垣間見れて面白い。天気図を分析して、資料を用意し、時候の話題をつくるといった作業を、自分ですべて行い(そりゃ取材や制作はスタッフがやるんだろうが、放送する内容はすべて自分で考えるという事のようだ)、そうして夜7時28分からの2分間の出番に備える、という生活を送っているんだそうだ。
実際に気象予報士を目指して勉強している人にとっては、息抜き程度に。というかむしろ「気象予報士になった後」で参考になる部分があるかもしれない。一般の人はこれを読んで日々の天気に関心を持ったり、季節の変わり目を感じたり、季節感溢れる言葉を探したりする「とっかかり」として読むのがいいと思う。
また、半井さんマニアな人にとっては、テレビに出るまで何をしていたか(日本銀行で働いていたらしい)とか、子供の頃の写真があったりと貴重な本であるかもしれない。私はそんなに熱心なファンではない。むしろ、平日の夜7時にテレビを見ている事自体極めて稀なので、なかなか会えない「はぐれメタル」的な存在であったりする。
この本には古来から気象を指し示す言葉のうちよく知られている「二十四節気」がカレンダー形式で収録されている。半井さんの言葉による説明もあったりするが、中には昔と今とでズレが生じているものもある。いまから10年、20年後にこの本を読み返したら、気候の変化に驚く事になるのかもしれない。