「Jリーグクラブをつくろう!」新規参入を目指すクラブを紹介
秋元大輔 著 ノースランド出版
実は何回かの記事を通じて、この本にいかにしてたどり着いたのかという事をブログで書いていこうと思っていたのだが、たまたまこの本で紹介している内容が世間で注目を集めちゃっているので急遽、この本のことを紹介しようと思った。と言っても要約すれば近所の本屋になくて、「Amazon」で注文して買ったというだけの話ではあるのだが。
この本の存在を知ったのは今年の秋である。今年は「Jリーグ準加盟チーム」の動向を探ろうとJFLにも注目していたのだが、ちょうど「全国地域リーグ決勝大会」の存在を11月に知り、JFLの下のカテゴリーにもJリーグ入りを目指しているクラブの動きがあるんだという事を知った。その頃、この本の存在を知り、地元の本屋を探し回ったが見つからず、このほどようやく手に入れて読んでいた。
この本は2007年の2月に出版された。ちょうど今シーズンが始まる直前の段階で、JFL、地域リーグ、都道府県リーグに所属している、「将来Jリーグ入りを目指している」という全国28のクラブをリポートしたという内容になっている。当然、これを読んでいる現時点では2007年のシーズンは終わっているのであり、ちょうど今はこの28チームがこの1年でどのような状況になっていったのかを検証している段階であった。当然のことながら、今年Jリーグ準加盟が認められたロッソ熊本、FC岐阜、栃木SC、ガイナーレ鳥取のことも載っている。そのうち熊本と岐阜は念願かなって2008年のJリーグ(J2)加入が決定した訳だが、そこに至るまでにどのような経緯を辿っていたのかも載っている。1シーズン前の情報ではあるが、そのクラブの今と見比べることでより内容は活きてくると思う。
それらのクラブのことはおいおいこのブログで書いていくこととして、今回はこの本の一番最後に登場した「FC琉球」について書いてみたいと思う。もちろん、最近のニュースでご存知の通り、かのフィリップ・トルシエ元日本代表監督がこのチームの「総監督」に就任したというニュースが今世間を賑わしている。モロッコ代表監督後、長いこと監督業に就いていなかったようであるが、ビッグクラブやどっかの国の代表監督を狙っているものと思っていただけに、意外に思った。
しかし、「Jリーグクラブをつくろう!」に紹介されているクラブを見ると、「え、あの監督が地域リーグにいるの!?」とか「姿見えないと思っていたあの選手、ここでプレーしてたんだ」といった驚きがいくつも見受けられたので、今は以前ほどはびっくりしていない。ただ、大変なことであると言うのは間違いない。
トルシエ氏はどれぐらいの報酬でこの役職を引き受けたのか。FC琉球は今までもプロ契約選手を主体に構成してきて、予算規模もこの本によれば、並みの地域クラブを遥かにしのぐ規模を誇っているようである。(本には2006年の運営費が1億5000万円とある。)億はいかないまでも、予算規模のかなりのパーセンテージを1人の人間につぎ込んでいくという形になるようだ。また、「総監督」とは何なのか。記者会見では自身が采配を振るうことを否定した。総監督が監督の人選なども行っていくという事のようだ。思えばトルシエ氏は日本代表監督の任期中、五輪代表などの下のカテゴリーの監督も兼任し、下部組織と一体となって全体のレベルアップを目指すという方法でトップチーム(2002年W杯日本代表)の強化を進めていった。組織全体のマネージメントということに発想を持つ人間であることから、クラブは今までなかった「総監督」というポストを用意したようだ。
この本はJを目指すクラブの「いい所」だけでなく、現在抱えている問題点などにも目を向けている。FC琉球は2006年には全員プロ契約選手で臨んでJFL18チーム中14位。この年限りで与那城ジョージ監督を解任したところまでこの本には書かれていたが、2007年はさらに下がって17位となり、この年に就任した吉沢英生監督は1シーズンで解任となった。予算がなくても頑張って順位を上げるチームがある一方で、予算に恵まれながら順位を落とすクラブもある。「予算がある」といってもスポンサーが結果の出せないクラブにいつまでも資金を提供してくれる訳もないから、迷走しているようではスポンサーは離れてしまう。トルシエ総監督就任は、長期的なビジョンを明示することによって今までの監督や選手が短期間で変わって思うようにチーム力が上がっていかない現状を打破し、またスポンサーを納得させるための手段であるという事のようだ。
久々に日本のテレビの前に現れたトルシエ氏はかりゆしを着て、「はいさい」と沖縄語で挨拶したりと、日本代表時代の厳格なイメージとはずいぶんかけ離れていた。柔和な表情と日本人なら誰でも知っている抜群の知名度。チームの宣伝にひとまず成功したところではあるが、問題もけっこうありそうだ。
クラブのHPを見てきたところ、先に書いた監督の解任だけでなく、それまでチームの顔とも言える選手を多く解雇したことによりサポーターの反発が起きているようだ。まあ、思い入れの強い選手が出て行くことにサポーターが反発するのはどこのクラブでもあること。たまたまそのことが公式HPに載っていたために心配になってしまっただけかもしれない。解雇した選手を含め、トライアウトを行い来季の選手を選考していくことのようだが、当初12月15日の日程を変更している。それはトルシエ氏の総監督就任にともなう変更と思われる。総監督がそれを見て来季のメンバーを決めていくという事だとも思われる。そうだとしたら、就任してすぐさまトライアウトで選手選びといういきなり大きな仕事が待っているという事になる。今までの琉球の選手のことなど調べている時間もなかっただろうし、そんな段階で選手の選別が出来るだろうか心配だ。また、トライアウトを見て「げ、この選手じゃ俺チーム作り出来ないよ」と思ってしまわないかも心配だ。代表クラスやフランスのクラブの指揮を取っているんじゃないということを納得できるか、という点である。トライアウトは23日に行われるそうだ。
あと、ダバディは沖縄に来るのだろうか。そこらへんも興味がある。